日本酒造りの工程紹介
01.精米と洗米
土井酒造場では自社で精米を行っていますので、酒造りの期間中は24時間、休むことなくフル稼働しています。自社精米を行っている酒造会社は少数派ですが、米の状態を確認しながら精米を行えることは大きなメリットだと考えています。
精米した米は、蒸し作業に備え「洗米」されますが、大量の水で米を割らずに、余分な糠を一気に洗い流します。この洗米機は酒造機器メーカーと土井酒造場が共同で開発したものです。洗った米は秒単位で管理しながら吸水させ、良好な蒸米が出来上がるよう準備します。
02.蒸米
早朝、100度以上の乾燥蒸気で酒米を一気に蒸しあげます。蒸し米は外硬内軟、米粒の表面は硬いが内側はふっくらと柔らかな状態へと仕上げます。日本酒は米、水、麹、酵母のみで造られます。いかに質の良い蒸し米を安定して仕上げるかが、お酒そのものの質を大きく左右します。
03.手作業による放冷
蒸し上がった酒米を適温に冷ます工程を放冷といいます。放冷には簀の子の上に蒸米を広げて手で混ぜながら均等に温度を下げる方法と、放冷機という機械を使用して温度を下げる二通りの方法があります。
04.酒母
酒母とはその名の通り酒の母、もろみの発酵を促すための酵母を大量に培養した液体です。小さなタンクで酒母を仕込み、そのあと大きなタンクへと移し、三回に分けて蒸米、麹米、仕込み水を投入し醪を育てていきます。このことを「三段仕込み」と呼びます。
05.放冷機を使用した放冷
放冷機自体はどの酒蔵でも必ず使われている酒造設備ですが、土井酒造場では特殊な装置で殺菌した冷風を吹きかけて、蒸米の温度を下げています。
06.掛け米
掛け米とはもろみに投入する蒸米のことです。最初に投入するの掛け米のことを「添(そえ)」と言い、一日開けて「仲(なか)」、その翌日に「留(とめ)」と合計4日間、三段階に分けて仕込みます。映像は吟醸蔵内の密閉型醪タンクへ、掛け米を投入する様子です。
07.麹室での製麹作業
酒造りにおいて最も重要と言われるのが麹造り、「一麹、二酛(酒母)、三造り」という有名な言葉もあります。一番大事なのが麹という意味です。麹造りは条件によって異なりますが、二昼夜、48時間ほど要します。この間、麹菌が均等に繁殖するよう何度も手を掛けて慎重に育てていきます。
08.日々の分析
麹菌の酵素が米のデンプンを糖に変え。酵母がその糖分を食べてアルコールと香り成分を生成する。醪タンクの中では糖化と発酵が同時に行われており、このことを「並行複発酵」と言います。温度管理はもちろん、酒造りの責任者である杜氏は、常に醪の状態をチェックしながら醪を育てていきます。
09.上槽作業・袋吊り
完成した醪を搾る工程を上槽といいます。上槽には大きく分けて①袋吊り、②槽搾り(ふなしぼり)、③圧搾機を使用した搾りの3種類があります。ご覧いただいているのは「袋吊り」です。完成した醪を酒袋に詰めてタンク内に吊るし、酒袋から染み出た雫を斗ビンに集めます。これは鑑評会出品用など、本当に特別なお酒を搾るときに用いられます。
10.上槽作業・槽搾り(ふなしぼり)
槽搾りは醪を詰めた酒袋を槽(ふね)の中に積み上げ、自重によってにじみ出て来たお酒を集めるという方法です。最初に出てくる白く濁りのある酒を「あらばしり」、濁りがなくなった澄んだお酒を「中取り」または「中汲み」と呼び、最後に圧を掛けて搾ったお酒を「責め」と言います。槽搾りは大吟醸など、質の高いお酒を搾るときに用いられます。ご覧いただいているのは「あらばしり」。少し緑がかった濁り色をしています。